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Pain

 




 
 開かずの間―
 屋敷の人間は、皆そう呼んでいた。
 彼も、その部屋に入ってはならないと主からきつく
 言われていた。ならぬと言われればそれをしたくなるのが
 人の心情というもので、彼は日頃から、中の様子を
 うかがってみたいと思っていた。

 ある日彼が外出先から戻ってくると、開かずの間から丁度
 出てきた主の姿をみつけた。彼は好奇心に負け、主の
 言いつけを破った。主が書斎に入ったのを見計らい、静かに
 その部屋の前に立つ。
 扉に鍵はかかっていない。さっと中に滑り込んだ。

 薄暗い部屋の中で彼が目にしたのは、赤い着物の少女―
 いや、よく見るとそれは自分と同じ年の頃の少年であった。
 ぐったりと壁にもたれかかり、薄い襦袢の合間から白く
 痩せた肌があらわになっている。
 彼は胸を詰まらせ、とっさに自分の着ていた外套を脱ぎ
 その少年のもとに駆け寄った。
 
 ―そのような格好では風邪を、ひきます

 ようやく彼の気配に気が付ついたらしい少年は
 顔をあげて、わずかに聞こえる程度の声で言った。

 ―ありがとう

 力なく微笑んだような少年の表情に、彼はますます胸の
 締め付けられるような思いがした。
 

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    name:瀬尾

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